ひどい生理痛は月経困難症?症状の見分け方とセルフケア5選

生理が来ると下腹部の痛みなどに代表される、生理痛を経験したことのある女性は7割以上と言われています。
誰でもあるのが当たり前と思われがちの生理痛ですが、その症状があまりにも酷く、日常生活に支障がでるほどの痛みを感じる女性も少なくありません。
そんな時は鎮痛剤を飲んで、なんとかやり過ごしている女性も多のではないでしょうか?
ですが尋常ではない生理痛の痛みの裏には、重大な病気が隠されているという可能性も否定できません。
「たかが生理痛」と甘く見るのは危険で、もしかしたらただの生理痛ではなく、もしかしたら月経困難症という病気かもしれません。
耳慣れない月経困難症について、詳しくご紹介していきます。
Contents
月経困難症とは?
月経困難症は主に生理が始まって1~3日目に強い症状があらわれ、その症状は一般的な生理痛とほぼ同じです。
- 下腹部の痛み、それに伴う倦怠感
- 悪心、嘔吐
- 腰痛
- いらいら
- 下痢
- 頭痛
ですが仕事や家事に悪影響を及ぼすほどの、重度な症状がある場合が月経困難症と言われます。
その大きな理由として、複数の症状が併発することによって、日常生活に支障が出てしまうのです。
- 起きているのが辛い → 通勤、通学、家事ができない
- 集中力に欠ける → 学業、仕事、家事の能率が落ちる
- 精神的に不安になる → 周囲とトラブルを起こしやすい、誤解を受けやすい
- 悪心、嘔吐が頻発する → 飲食を楽しめない、会食ができない
- 下痢が頻発する → 便意を気にして外出に消極的になる
そして月経困難症の原因は2通りあり、それは年齢や症状によって内容が変わってくるのです。
「機能性月経困難症」は疾患があるわけではありませんが、子宮や卵巣が未成熟であること、 冷えやストレスも原因と考えられます。
一般に、思春期から20代前半に多くみられます。ようこそ、生理外来へ
原因となる疾患は「子宮内膜症」や「子宮腺筋症」「子宮筋腫」など。
一般に20代後半から多くなり、痛みの症状は、生理初日~3日目ごろを過ぎても続き、 生理期間以外に痛みが生じることもあります。ようこそ、生理外来へ
前者の場合は生理時の身体の機能に異常がないのにもかかわらず、一般的な生理痛が特に強く体にあらわれる症状だと思ってください。
問題は後者です。
これは通常の生理痛とはまったく異なり、子宮などの器官の異常が原因で起きる病気です。
そして器質性を発症する年齢は20代後半~40代女性が多いので、もしも強い痛みがあったら子宮の異常のサインかもしれないと思うようにしてください。
そのまま痛みを我慢して放っておいた場合、症状が進行してしまう可能性もあるのです。
※生理前に起きる辛い症状にお悩みの方は、PMS(月経前症候群)かもしれません。
月経困難症の診断基準とは?
先述した通り、生理痛の症状が重く、日常生活に支障が出る場合は月経困難症の可能性が高いです。
しかし、症状が重い=月経困難症と必ずしも言えないのです。
そこで月経困難症と診断される基準は、どれくらいの痛みがあって、どのくらい日常生活に支障が出ているのかで判断されます。
その方法は痛みの段階的な指標のVRSとVASいう基準と照らし合わせてから、月経困難症かどうかを診断します。
0・・・痛みはほぼない。
1・・・痛みはあるが日常生活に支障はない
2・・・痛みは強いが薬を飲めば生活に支障はない
3・・・痛みは強く、薬を飲んでも辛い
4・・・痛みがひどく、動くこともままならずいつも寝ている これのどれに当てはまるかで診断します。
VASは全く痛みがないものを0、最も強い痛みを10として10センチのスケールにしるしをつけて診断します。 医師が教える人間ドックの評判とホントのところ
これは実際に婦人科の医師によって診断されるものですが、自分自身でもある程度の目安は付けられると思います。
そのためには3か月程度は症状の度合いや日数などを記録しておくことで、より正確な判断ができます。
その記録から自分の症状を数値と照らし合わせて、数字が高ければ月経困難症の可能性があると言えます。
器質性月経困難症が疑われる症状とは?
もしも自覚症状の範囲内で上記の数値が高かった場合、器質性月経困難症の可能性も考えられます。
器質性月経困難症の場合は、生理中以外にも痛みを感じるので明らかに生理痛と違うと認識できますよね。
そのような生理以外の痛みや症状の中で、月経困難症の可能性が考えられるのはどのようなものなのでしょうか?
生理痛が年々強くなる
機能性の下腹部の痛みは基本的に鎮痛剤を服用すれば、痛みは緩和されます。
しかし以下の症状が思い当たる場合は注意が必要です。
- 生理痛が年々強くなってきた
- 鎮痛剤が効かない
- 生理日以外に痛みを感じる(性交時や排便時)
- 1カ月中の生理日以外に一週間以上痛みを感じる
これらの症状で考えられるのは、器質性月経困難症になる原因が最も多い子宮内膜症です。
症状としては、本来は子宮の内側に出来る子宮内膜が、お腹の中の他の部分に発生して出血したり、炎症を起こして癒着する病気です。
発症している患者の平均年齢は35歳とも言われており、比較的若い人に発症する病気で他人事ではありません。
そして同じような痛みが強い場合は、卵巣の異常である可能性もあります。
経血量が異常に多い・不正出血が続く
生理中にレバー状の塊が出た経験のある女性はかなり多いかと思います。
子宮内膜そのものが剥がれ落ちたもので、20代後半~30代女性は身体が成熟しているために塊が落ちることがあります。
生理中に1~2回、小指の先くらいの大きさの塊が出るくらいならば心配することはありません。
ですがその塊が頻繁に出る、もしくは塊が大きい場合、過多月経と言われる症状の可能性が。
過多月経の原因として考えられるのは子宮腺筋症、子宮筋腫の疑いがあります。
子宮内膜症の組織が子宮腺筋と言われる部分に発生することで、経血量が増える原因になります。
子宮筋腫は子宮の壁にこぶのような腫瘍ができる病気で、小さければ自覚症状がないのですが、腫瘍が大きくなると過多月経の症状があらわれるようになります。
また、不正出血が続く場合は、機能性子宮出血や子宮内膜ポリープなどが考えられます。
器質性月経困難症の治療法
器質性と診断される場合は、ほとんどの患者さんは痛みに耐え切れなくなって初めて病院に駆け込んで発覚した、という方がかなり多いです。
その理由として、生理痛で婦人科に行くことに躊躇してしまうことと、生理痛は我慢するものという固定観念があるので、どうしても病院に行くまでに時間がかかってしまいます。
進行した後に発覚した場合は、症状によっては手術せざるを得ない場合もあります。
ですが手術はあくまでも最終手段であり、進行度合いによって薬物治療やピル、漢方薬などの治療も可能です。
痛みが出た時に効果的なセルフケア方法
機能性と器質性、全ての月経困難症患者の中でも器質性の患者さんは1割程度と言われています。
なので痛みがあったとしても、ほとんどの方が機能性月経困難症なのですね。
そして機能性の症状の場合は、セルフケアをすると症状を緩和できるのでとても効果的です。
そこで痛みが出た時のセルフケア方法をご紹介します。
市販の鎮痛剤を服用する
まずは市販の鎮痛剤を飲めば、ほとんどの痛みは解消されるでしょう。
今は病院で処方される成分と同じ鎮痛剤も販売されているので、辛い生理痛には効果が高いです。
注意すべきことは、強い痛みが出てから服用すると、効果が期待できない場合があります。
生理が来て痛みがまだ強くない時に、前もって飲んでおくことが効果的です。
そして市販の鎮痛剤でも効果が出ないほど、急激な痛みが出た場合は座薬を入れることが効果的です。
サプリメントを飲む
生理前に起こる体調不良のPMS(月経前症候群)に効果が期待できる、サプリメントも月経困難症に効果的なものもあります。
月経前症候群に効果的な栄養成分は、ビタミンE強化、ビタミンB1。
ハーブではPMSでも効果が認められている、女性ホルモンに働きかけるチェストツリーも効果的です。
特にチェストツリーを含んでいるサプリメントはPMSの女性に人気があるので、手に入りやすく手軽に試せるのもメリットですね。
腹部を温める
生理痛の痛みの対処法で、多くの女性が行っているのが腹部を温める方法です。
身体を温めることで緊張を和らげ、痛みの原因である子宮の収縮を緩和させる効果があるからです。
「どんなに痛みがあったとしても鎮痛剤はあまり飲みたくない」
という女性の場合は、この方法を取るようにしましょう。
積極的に身体を動かす
起き上がれないほどの痛みがある場合は除いて、積極的に身体を動かした方が痛みがまぎれる場合があります。
痛くて動きたくない、と思う方が多いかと思いますが、痛みに耐えるためにじっとしている方が、逆に下腹部の痛みに意識が集中してしまいます。
身体を動かした方が痛みに対する意識が分散されることに加え、子宮の緊張がほぐれて経血が流れやすくなるという二つのメリットがあります。
食べ過ぎない
生理前から生理中は、食欲が増すという症状を感じる方は多いのではないでしょうか?
ですが思いのままに食べ過ぎてしまうと、下腹部に過度の圧力がかかり痛みが増幅される可能性があります。
かといって食べないのもストレスになってしまうので、食べたい物を適量だけ食べるようにしましょう。
自分の体重管理も含めて、生理中の食欲には十分注意してくださいね。
月経困難症は不妊の原因になる?
妊娠を望む女性が月経困難症の症状がある場合、
「妊娠できない身体になってしまったのでは…」
と思い悩む方がかなり多いそうです。
ですが器質性月経困難症の原因である、子宮内膜症を患っている女性が妊娠・出産している事例もあるので、月経困難症が不妊の原因とは必ずしも言えません。
むしろ自分が子宮内膜症と気付かないまま、妊娠・出産をした女性も相当数いるのです。
そして不妊治療をしている女性の15%に子宮内膜症があり、妊娠しにくい傾向があるのは事実です。
しかし妊娠できるのかという過剰な不安が身体に負担をかけ、さらに妊娠しにくくなっていることもあるのです。
そうならないためにはストレスをためずに、基礎体温と排卵日を把握し、妊娠しやすくするための準備をすることが大切です。
- 排卵日の前日と当日が最も妊娠しやすい
- 排卵日には基礎体温が上昇するが、上昇しきってからでは遅い場合もある
- そのために排卵日予測ができる検査薬などを利用する
職場や家族には説明しておくべき
生理になると具合が悪くなる、という症状を、職場や家族にはきちんと説明しておくことをおすすめします。
筆者もかつて月経困難症の部下を持った経験があり、生理が来ると仕事を欠勤、早退することが、月一回は必ずあったからです。
その時は本人から事前にその症状を打ち明けられていたので、理解して受け止めることができました。
もしも何も聞かされていなかった場合、その部下に対して休みが多いのを理由に低評価を下していたかもしれません。
上司や家族に打ち明けたところで、すべてを理解してくれない可能性もあります。
ですが症状を言わないことで誤解されるよりも、すぐに理解してくれなくてもありのままを素直に打ち明けた方がずっとマシだと思いませんか?
言いにくい事かもしれませんが、自分のためにも相手のためにも、
「1か月中の一週間だけはご迷惑をかけるかもしれません」
と素直に伝えてみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
生理痛は女性ならば誰しも経験のある痛みだからこそ、その痛みを当たり前だと思ってしまう気持ちはよくわかります。
ですが痛みを我慢したところで、良いことは一つもありません。
辛い症状を緩和できる方法もありますので、痛みで1日を無駄にしないように過ごしてくださいね。
生理痛の悩みを持つ女性の皆さんに、少しでもお役に立てたならば嬉しく思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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