更年期予防に良い食べ物~30代から意識して取り入れましょう

女性は年齢を重ねるごとに、体調の変化がおとずれるようになります。
それは閉経前の前後5年間、合計10年間にも及ぶ更年期です。
更年期は女性ホルモンの分泌量が急激に減ること、ストレス、毎日口にする食べ物が大きく関わっています。
偏った食生活をしていると、健康面だけでなく心にも影響するのです。
そして更年期がすべての女性に起きるわけではなく個人差があるのは、日頃の食生活が更年期になる運命の分かれ道だと言ってもいいでしょう。
更年期にならず毎日を元気に過ごすために、年齢関係なく10年、20年先を見据えた食事を今からはじめてみましょう。
しかし更年期にならないためには、実際にどのような食べ物や栄養素をとればいいのかわからない方が多いのではないでしょうか?
そこで30代・40代から始める更年期を予防する食べ物、栄養素をご紹介します。
Contents
更年期になりやすい食生活とは?
更年期になりやすい食生活、と言われてもピンとこない方がほとんどでしょう。
まずは次のチェック項目で、どれくらい当てはまるか確認してみてください。
- 野菜中心の食生活
- 肉や魚はあまり食べない
- 麺類やどんぶり物で食事を済ませる
- 卵を控えている
- 乳製品を食べない
いくつ当てはまりましたか?
このような食生活では更年期に大切な栄養素、たんぱく質と鉄分が不足しやすくなるのです。
野菜中心の食生活は一見すると身体にいい、という印象を持たれるかと思います。
しかし野菜ばかりで肉や魚、卵を食べないと、動物性たんぱく質が不足し、脳の健康に必要な栄養素がとれない状態に。
脳は女性の生理、女性ホルモン、更年期、すべてに関係する重要な器官で、脳が働くために必要な栄養素はズバリたんぱく質なのです。
また酸素を体内に運ぶヘモグロビンを作るのに必須な鉄分は、たんぱく質がなければ体内に吸収されないのです。
そしてたんぱく質と鉄分が不足すると、イライラやうつなどの精神的な症状が起きる原因にもなります。
このように脳が健康になれないと、女性の身体には絶対に良くないことはお分かりいただけるでしょう。
更年期を予防するたんぱく質と鉄分の働き
更年期にならないために必要なたんぱく質と鉄分は、どのような働きをするのでしょうか?
そしてたんぱく質と鉄分を、1日に必要な量をとれる食べ物も併せてご紹介します。
たんぱく質の働きとは
たんぱく質は人間の身体を作るために必須の栄養素で、脳細胞や神経伝達物質の原料になります。
神経伝達物質とは心を元気にするために大きな役割を果たしていて、それが不足するとうつ病など心の病気になる原因に。
神経伝達物質とは幸せホルモンと呼ばれるセロトニンや、元気さや快活さを生むドーパミン、心を平穏や安定に影響するGABAなど。
すなわちたんぱく質が不足すると、精神が不安定になってしまうのです。
- 訳もなく不安になる
- くよくよすることが増えた
- 考えがまとまりにくい
- 片づけにやたら時間がかかる
- 肌荒れが気になる
- ダイエットしてもやせない
- 髪や爪が弱くなった
鉄分の働き
血中のヘモグロビンは全身のすみずみに酸素を運ぶ役割を果たし、そのヘモグロビンを作るために必須な栄養素が鉄分です。
また鉄分はたんぱく質と同じく、神経伝達物質の合成にも使われる栄養素。
さらに骨や皮膚、粘膜の合成と代謝にも関わっているため、鉄分が身体に十分にあると目覚めもよく、元気に体を動かすことができるのです。
鉄分が不足すると多くの女性を悩ませる鉄欠乏性貧血や、体内に新鮮な酸素が不足し、動悸や息切れ、立ちくらみやめまいが起きる原因に。
そして神経伝達物質も不足するので、心の安定も保てなくなってしまいます。
- 鉄欠乏性貧血になる
- 注意力や意欲が低下する
- イライラしやすい
- のどがつかえる・のどの不快感
- 寝起きが悪い
- 立ちくらみ・めまい・耳鳴り
- 食欲が出ない
- ささいなことが気になる
- 湿疹やあごニキビができる
更年期に良いたんぱく質を含む食べ物
たんぱく質はとり貯めができないので、毎日きちんと摂ることが大切です。
そこで朝・昼・晩の3食と間食に分けて食べると、身体に必要なたんぱく質が十分に取れます。
また肉や魚、卵、牛乳などの動物性たんぱく質と、大豆製品などの植物性たんぱく質をバランスよくとることも大切です。
脂肪やカロリーを気にするあまり、大豆製品などの植物性を優先してとろうとする女性も多いですよね。
しかし動物性たんぱく質は必須アミノ酸を含んでいるので、体内での利用効率が高く、心の健康には動物性の方が優れているのです。
ですが大豆製品にも女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンも含まれているので、植物性だけでなく動物性も偏らせないようにしましょう。
- 卵 1~2個
- チーズ 1切れ(6Pタイプ)
- 牛乳 コップ1杯(200ml)
- 豆腐 ½丁(150g)
- 納豆 50g(1パック)
- 赤身肉(牛・豚・鶏) 100g
- 魚(マグロ・アジ・カツオ) 100g(大き目の切り身1枚)
更年期に良い鉄分を含む食べ物
人間の身体には貯蔵鉄(フェリチン)という、肝臓や小腸粘膜に鉄分をストックする機能が備わっています。
ですが女性は毎月の生理の経血で鉄分を失うため、女性の場合は鉄分が不足しがちに。
そのため生理のある女性は1日に10~15㎎の鉄分をとる必要があります。
- 豚レバー 50g(6.5㎎)
- アサリ 100g(3.8㎎)
- カツオ 100g(1.9㎎)
- 納豆 50g(1.65㎎)
- がんもどき 100g(3.6㎎)
- ひじき煮 70g(1.9㎎)
- 枝豆 70g(1.75㎎)
- 小松菜 70g(1.96㎎)
鉄分を切らせないためには、これらの食べ物を毎日こつこつとることが大切です。
また鉄製のフライパンや鍋、鉄瓶などを使うと、調理中に鉄分が溶け出すため鉄分補給に効果的です。
ですが鉄のフライパンなどは重く、さびやすいのがデメリットに感じる方も多いですよね。
そこで黒豆を黒く煮る時に使う鉄玉を、お湯を沸かす時や調理の際に入れる方法が最も手軽に鉄分を補給できますよ。
鉄分は吸収率が悪いのがデメリット
毎日こまめにとりたい鉄分ですが、鉄分は吸収率が悪いのが難点でもあります。
鉄分には肉やレバーなどの動物性食品に含まれる『ヘム鉄』と、小松菜やひじきなど植物性食品の『非ヘム鉄』の2種類があります。
吸収率はヘム鉄が約30%、非ヘム鉄では5%以下と、非ヘム鉄は圧倒的に吸収率が悪いのです。
そこで非ヘム鉄の吸収率を上げるポイントは、たんぱく質とビタミンCを一緒にとること。
ビタミンCには鉄分を吸収しやすい形に変えてくれるので、かんきつ類などビタミンCが含まれる食べ物や飲み物を取り入れましょう。
そして逆に吸収を悪くするのは緑茶に含まれるタンニンなので、お茶を飲むのであれば食後30分くらい経ってからにしてください。
効率よく鉄分を補給するならサプリメント
吸収率が悪いという部分に着目した、鉄分補給できるサプリメントも発売されています。
食べ物で完璧にとるのが難しい面があるので、食事とサプリメントを合わせて鉄分を補給するのが最も効率的な方法と言えます。
そして鉄分のサプリメントを選ぶ際に、気を付けて欲しいポイントがあるので必ず確認してくださいね。
- 吸収率の高いヘム鉄を含んでいるもの
- 非ヘム鉄でもビタミンCが含まれているならOK
- 鉄分の配合量をきちんと確認する
(配合量が低い物もあるため) - ビタミンC、たんぱく質、ビタミンB12、葉酸など、鉄分の吸収を助ける栄養素が一緒に配合されているもの
30代から意識してとってほしい栄養素
たんぱく質と鉄分に焦点を当ててきましたが、更年期予防に効果的な栄養素はこれだけではありません。
30代からしっかりとる必要がある栄養素は、ビタミン類やカルシウム、亜鉛、フィトエストロゲン(植物性エストロゲン)で、これらは更年期予防にも効果的なのです。
そこでこれらの栄養素を含む食べ物を、詳しくご紹介していきます。
ホルモンバランスを整えるビタミンE・亜鉛
女性の身体のすべてに関わっている女性ホルモンは、ストレスや生活習慣ですぐに乱れてしまいます。
生理だけでなく美容と健康を健康に保つためにも、ホルモンバランスに気を配った食事をすることが大切。
ビタミンEは血行促進、女性ホルモンの分泌を促す働きがあり、亜鉛はそれに加えてホルモンバランスを整える働きも持っています。
30代はホルモンバランスが乱れやすいので、ビタミンEと亜鉛は積極的にとるようにしましょう。
- ビタミンE
イクラ・たらこ・ツナ・うなぎ・ハマチ
モロヘイヤ・大根の葉・かぼちゃ・赤ピーマン
アーモンド・ピーナッツ・アボカド - 亜鉛
牡蠣・タラバガニ・あさり・油揚げ・納豆
豚レバー・牛ロース赤身肉・牛モモ赤身肉
自立神経の働きを維持するビタミンB群
ビタミンB群とはB1、B2、B6 、B12の総称で、主に自律神経の働きを維持してくれるため、更年期症状を抑える重要な栄養素です。
更年期の症状が自律神経失調症と似ている理由として、ホルモンバランスが乱れることで自律神経のバランスも崩れるためです。
身体の体温や汗、女性ホルモンの分泌にも自律神経が関わっているので、30代から自立神経の働きを乱さないようにしましょう。
- ビタミンB1
豚肉・うなぎ・たらこ・ナッツ類 - ビタミンB2
豚レバー・鶏レバー・牛レバー・うなぎ・牛乳 - ビタミンB6
かつお・まぐろ・牛レバー・さんま・バナナ - ビタミンB12
牛レバー・鶏レバー・カキ・さんま・あさり・にしん
また以下の記事でホルモンバランスを整える食事や、生活習慣などを詳しくご紹介していますので、こちらもチェックしてみてくださいね。
ストレスの抵抗力をつけるビタミンC
イライラや不安など更年期に起きる心の症状には、ビタミンCが有効です。
ビタミンCにはストレスを受けた時に抵抗する力を与えてくれるので、心を乱さず穏やかにいられるようになります。
そして肌の調子が変わり始める30代は、肌のたるみや毛穴の開きなどに悩み始めるころですよね。
ビタミンCは肌のコラーゲンを生成する働きがあるので、美と健康を保つために毎日こまめにとるようにしましょう。
- 赤、黄ピーマン・パセリ・芽キャベツ・ゴーヤ・モロヘイヤ・ブロッコリー
- アセロラジュース
- 柿・キウイ・いちご・レモン果汁・パパイヤ
- めんたいこ・ハム・ベーコン
ビタミンCは熱に弱く水に溶ける性質があるため、生の状態で食べられるフルーツが最も効率がよいと言えます。
また推奨されているビタミンCの摂取量は、成人女性で1日に75 mg、また喫煙者の場合は35㎎を上乗せした量になります。
喫煙はビタミンCを壊すと言われているため、非喫煙者よりも多くビタミンをとる必要があるのですね。
しかし食べ物ですべてのビタミンCを補うのは難しいため、サプリメントを併用することをおすすめします。
エストロゲンの代わりになるフィトエストロゲン
フィトエストロゲンという言葉を初めて聞いた方も多いのでは?
フィトエストロゲンとは植物性エストロゲンを指し、普段何気なく食べているものに含まれています。
- 大豆製品(豆腐、豆乳、納豆、きなこ)
- 豆類(レンズ豆、ヒヨコ豆、いんげん豆、えんどう豆など)
- ナッツ類(ピスタチオ、アーモンド、ヘーゼルナッツなど)
- フルーツ(ざくろ、乾燥プルーン、ラズベリー、いちご、りんごなど)
- 野菜(いんげん、ブロッコリー、アスパラガス、にんにく、セロリなど)
しかしフィトエストロゲンはただ食べただけでは、エストロゲンの代わりになってくれないのです。
フィトエストロゲンの分子は大きいためそのままでは吸収されず、腸内細菌によって分解されアグリコン(非配糖体)になる必要があります。
アグリコンになって初めて、エストロゲンの代わりになってくれるというわけです。
そこでフィトエストロゲンをアグリコンに変えてくれるのがクラフトオリゴ糖。
クラフトオリゴ糖は腸内環境を整える効果があるため、フィトエストロゲンの分解がさらに促進される効果が期待できるのです。
フラクトオリゴ糖(FOS)は難消化性、発酵性の糖質で、腸管でのビフィズス菌などの成長を促進する。
したがって、FOSはフィトエストロゲン配糖体の体内利用率を修飾し、その吸収を促進、生活習慣病などの疾病に有用であることが期待される。フィトエストロゲンの生体内動態に関する研究ーKANKEN
このようにフィトエストロゲンだけでなく、クラフトオリゴ糖そのものも身体にとって良い働きをしてくれるので、30代から積極的にとるようにしましょう。
クラフトオリゴ糖は主に甘味料として発売されているので、普段の食生活に砂糖代わりに使うと手軽にとれるのでおすすめ。
また卵胞期(生理後~排卵まで)は体内でエストロゲンが分泌されるため、この時にフィトエストロゲンをとると、本来のエストロゲンの効果が弱くなる可能性があります。
そのためエストロゲンの分泌が減る黄体期(排卵~生理開始)にとると、プロゲステロンによる生理前のイライラなどのPMSの緩和につながるので、この時にとると良いでしょう。
更年期の症状を招く!糖質の取り過ぎに注意
これまでとった方が良い食べ物や栄養素をお伝えしてきましたが、逆にとらない方がいい食べ物や栄養素をご紹介します。
糖質といえばダイエットの大敵として知られていますよね?
糖質は更年期の症状に見られる、イライラ、気分の落ち込みなどが起きる原因のひとつでもあります。
- 白米、餅、麺類(ラーメン、うどん、パスタ)
- 菓子パン
- トウモロコシ、かぼちゃ、レンコン
- 上白糖、はちみつ
- ジュース類(市販の野菜ジュース、清涼飲料水など)
- お菓子(チョコレート、ケーキ、せんべい、ドライフルーツなど)
糖質をとり過ぎることによって、血糖値を調節するインスリンの働きが悪くなる低血糖症になりやすくなります。
低血糖症になると血糖が乱高下しやすくなり、脳の働きに悪影響をもたらします。
そのためお腹が空くとイライラする、ちょっとしたことで怒りが爆発する、急に落ち込むといった情緒不安定な症状がでるのが特徴。
普段からご飯類や甘い物を好んで多くとり、お腹が空いた時にこのような症状がでる場合は低血糖症を疑ってみた方がいいかもしれません。
そこで低血糖症を改善するためには、血糖値を上げにくい食べ物に替えることをおすすめします。
- 白米、麺類⇒玄米、雑穀米、低糖質原料の麺類
- 菓子パン⇒全粒粉パン、ブラン(小麦ふすま)を使ったパン
- トウモロコシ、かぼちゃ、レンコン⇒葉物野菜、トマト、なすなど
- 上白糖、はちみつ⇒クラフトオリゴ糖などの人工甘味料
- お菓子類⇒低糖質で作られたスィーツ、ナッツ類、ヨーグルト、寒天など
低糖質(ロカボ)食品を試してみる
画像引用元:ロカボ https://locabo.net/locaboproduct/
「甘い物を食べることがストレス解消!」という女性も多いですよね。
ですが突然甘い物を止めるとストレスになり、反動でドカ食いしてしまう可能性も考えられます。
そうならないためには低糖質(ロカボ)、なおかつ甘い物の欲を満たせる食べ物を代わりにとる方法を試してみてください。
先にご紹介したクラフトオリゴ糖を普段からとるようにすると、糖質を抑えながら腸内環境も整い、フィトエストロゲンも生成できるので一石二鳥以上の価値がありますよ。
ただしオリゴ糖などの人工甘味料は1日分の摂取量に上限があり、とり過ぎるとお腹がゆるくなることがあるので注意してくださいね。
糖質制限ダイエットが一般的に広まっているため、今は低糖質なパスタやうどんなどの麺、スィーツもたくさん販売されています。
上の画像は低糖質のスィーツの一例ですが、ショートケーキの糖質は約28gなので低糖質スィーツを食べるメリットは高いです。
甘いお菓子を食べたい欲を我慢せず、低糖質のものを食べてストレスをためない方がずっと健康的ですよ。
まとめ
いかがでしたか?
30代後半~40代前半に起きるプレ更年期や、その先にある更年期を意識した食生活をすると、更年期が起きにくい身体になれます。
特に意識するのはたんぱく質と鉄分、ビタミンで、それらを偏らずに少しずつ毎日の食事にプラスしてみてください。
また更年期だけでなく美容面においても食生活はとても大切なので、すぐにやれることから始めてみましょう。
ただし更年期になりやすい性格はがんばり屋さんで我慢強いタイプの方なので、毎日の食生活を制限し過ぎないようにしてください。
たまのご褒美に美味しい物を食べて、次の日からまた食生活を意識すれば大丈夫。
健康的な食生活はストレスと感じない程度に継続することが大切です。