更年期を予防できる運動~30代からの運動習慣が未来を変える

更年期予防に大切なことは、食生活、運動、ストレスを溜めないこと。
特に運動は学生時代は運動する機会があったものの、社会人になった途端パタリと運動を止めてしまった、という女性も多いのではないでしょうか?
運動をすることで更年期症状が起きる原因の根本を改善でき、同時にダイエットなど美容面の効果も付いてくるのでとてもお得なのです。
そこで運動がなぜ更年期予防につながるか、また効果的な運動方法をご紹介していきます。
Contents
更年期症状と運動の深い関係とは?
更年期障害はすべての女性に起きるとは限りません。
特に30代から定期的に運動している人は、更年期症状が起きても軽く済むと言われています。
以下のように運動と更年期障害の関係を研究した結果によると、30代からの生活習慣が更年期症状に影響するとでています。
その 結果30歳代の生活習慣では、食生活・生活リズム・ 喫煙・趣味・休養・疲労・睡眠及びスポーツが更年期 症状と関連しており、スポーツをしていなかった者は 更年期指数が有意に高かった。
また最近1年間の生活習慣では食生活・生活リズム・飲酒・睡眠・疲労・家族との交流・気分転換・自由時間が更年期症状と関 連していた。
これは更年期世代に入る前の生活習慣、身体活動も更年期症状に影響を与えることを示唆して いる。
このように生活習慣の1つとして運動を捉えた 研究では、運動が更年期の不定愁訴の軽減に有効であり、心身のリラックスとして作用していることが推測 できる。中年期女性の更年期症状と運動・スポーツ
更年期の症状はどれもつらいもので、ひどい場合はうつ病を発症する可能性もあります。
そうならないために30代のうちから、生活習慣に気を配ることが大切なのですね。
更年期予防に運動が良い3つの理由
更年期障害の症状がある方が運動することで症状が軽減される運動療法は、更年期障害治療の1つです。
しかし運動は症状が出ている人だけでなく、予防にも効果が期待できるのはなぜなのでしょうか?
そこには更年期予防に良い3つの理由があるのです。
①自律神経を高めてくれる
自律神経は心臓や内臓を動かす、血圧や体温の調節、食べ物の消化・血管・汗腺の機能の調整など、人間の生命を維持するためになくてはならない機能です。
運動不足やストレス、睡眠不足などの生活習慣、またエストロゲンの分泌が減ることによって、自律神経が乱れて上手く機能しなくなります。
その自律神経の乱れによって血行が悪くなることで、更年期症状によく見られるホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)、体の冷えなどが起きるのです。
つまり運動することで心拍数を上げ、血管が開いて筋肉にたくさん血液が流れるという働きで自律神経が活発になり、血行も良くなり冷えも解消されるため更年期症状が起きにくくなるのです。
②運動でストレス解消できる
ストレスは体調不良や病気、精神疾患の原因になるため、更年期症状の気分の落ち込みやうつ状態の症状が起きてしまいます。
そこで日常生活に運動を取り入れることにより、更年期に大敵なストレスを解消できるのです。
またストレスを解消できることで得られる、精神的な安定も更年期予防にとても効果的です。
③睡眠の質を上げてくれる
更年期によくある症状の中で、不眠や寝付けない、すぐに目が覚めるといった睡眠に関する症状が起きることがあります。
睡眠の質が下がる原因は自律神経の乱れのほかに、寝る前のスマホやカフェイン、ストレスなどが挙げられます。
よく眠れないと疲労回復できずに溜まっていき、また眠れないことがストレスになるため、さらに眠れない悪循環におちいることも。
そこで運動することによりストレスが解消されて自律神経も整い、加えて適度な運動により心地よい疲れを得られるため、自然と眠りに就けるようになれるのです。
更年期予防になる運動の種類とは?
30代を超えると基礎代謝が落ちやすくなることに加え、エストロゲンの分泌がだんだん減少していくことで脂肪が付きやすく、やせにくい身体になってしまいます。
また運動は生活習慣病などの病気や、うつ病などの改善にも役立つため、健康的な身体作りにとても大切です。
そして更年期予防に効果的な運動とされるのは、有酸素運動・ストレッチ・筋トレ、この3種類がもっとも有効と言われています。
更年期予防に効果的な運動の種類とメリット | ||
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有酸素運動 | 筋肉内で酸素を使いエネルギーを生み出す 心肺機能が高くなる 血流が活発になる 20分以上続けると、身体の脂肪が燃焼される | ウォーキング 軽いジョギング 軽めの水泳 ヨガ・ピラティス エアロビクスなど |
ストレッチ | 本格的な運動をする前にやると運動効果が高くなる 体と関節をやわらかくするので、ケガや転倒の予防になる リラックス効果や睡眠の質を高める | 開脚 ひざの屈伸 肩をまわす 横になって身体を伸ばす ラジオ体操(動的ストレッチ)など |
筋トレ | 筋肉を付けることによって基礎代謝が上がり、やせやすい身体に うつ病や骨粗しょう症などを軽減する | スクワット 腕立て伏せ ダンベルなど |
このような3種類の運動を少しずつやれる範囲で、負担にならずに継続できるものを選びましょう。
ですが重要なのは20分~30分くらいの短時間で、ほんのり汗をかくくらいの運動量に留めること。
過度な運動は更年期予防にならず、むしろ更年期症状が起きる可能性が高くなると言われているので頑張り過ぎは禁物です。
そこで過度な運動にならず、また手軽にはじめられる運動をご紹介します。
年代関係なくできるラジオ体操
ラジオ体操と聞くと小学校の夏休み、またはお年寄りの方がやるもの、というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?
ですが昭和からあるラジオ体操は、優秀な動的ストレッチと言われています。
動的ストレッチとはウォーミングアップ(準備体操)のことで、これまで運動をしてこなかった人が最初にやるべき運動はラジオ体操がピッタリなのです。
かつて体育の授業前に必ず準備体操をしていたのは、これらの理由があったのかと今になると理解できますよね?
ウォーミングアップすることで筋肉が温まって稼働範囲が広がり、凝り固まった身体をほぐしてくれます。
また身体が動きやすくなることで、ケガの防止につながるというメリットも。
特にラジオ体操は腕や全身、身体の側面を伸ばす動きが多いため、全身を使うストレッチを体操として組み込んでいる実はとても優秀な体操だったのですね。
何年も運動してこなかった女性には、まずはラジオ体操で身体をほぐし、運動する態勢を整えてから本格的な運動に移るようにしましょう。
ただしラジオ体操はダラダラやるのではなく、動きにメリハリを付けて身体が伸びる感覚をしっかり感じながらやるようにしてくださいね。
では次から運動初心者でも簡単に始められる運動をご紹介していきます。
有酸素運動になるウォーキング方法
数ある有酸素運動の中で、日常生活でも簡単に取り入れられるのがウォーキングの最大のメリット。
しかし単にダラダラ歩くだけでは、有酸素運動の効果を得られません。
ウォーキングには効果的な歩き方があり、その方法で15分~20分は歩くことではじめて、脂肪燃焼などの有酸素運動の効果を得られるのです。
またウォーキングでホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)の症状が改善したという声も多く、予防だけでなく更年期症状の改善にも高い効果が期待できます。
《ウォーキングは姿勢と目線を意識して》
ウォーキングする時に姿勢と目線を意識することで、全身を使った歩き方ができるようになります。
ですが歩くための姿勢と目線と言われてもピンとこないかと思いますので、次の3つの方法で確認してみてください。
- 正しい姿勢
壁の前に立ったときに、肩のうしろ側が壁に軽く触れる位置 - 正しい目線
壁の前に立ったときに、腕を地面と水平に伸ばした先が正しい目線 - 正しい姿勢と目線でバックステップ
歩きはじめる前に、まず片足を上げてうしろに一歩バックステップを踏む
これをすることで動かす筋肉を意識して効果的に動かせるようになる
姿勢と目線を身に付けられたら、次はウォーキングを実践していく番です。
まず靴はウォーキング専用のスニーカーを履くと、普通のスニーカーで歩くよりもウォーキング効果を高めてくれるのでおすすめ。
そしてせっかく歩くのであれば、さらに効果を高めるためのウォーキングフォームも身に付けてみましょう。
《全身に効くウォーキングフォーム》
- 自然にひじを曲げて、バランスをとりながらリズムよく振る
- 身体はあまり上下させず、重心を前に運ぶイメージで
- 無理にももを上げるのではなく、足を踏むときに押すように
- 内股やガニ股にならないよう、足のひざとつま先をまっすぐにして踏み出す
《ウォーキングを習慣にするコツ》
ウォーキングを実践することは素晴らしいのですが、問題は継続してやれるかどうかです。
ウォーキングを習慣にするためには、歩いていて気持ちいいと感じる場所をコースに設定しましょう。
木陰があって涼しい遊歩道や、地面がやわらかいところ、近所の公園をゴールにするなど飽きさせない工夫を。
身体がウォーキングに慣れてきたら坂道や階段をコースに組み込むと、運動効果がアップするのでおすすめです。
更年期予防に効果的な簡単ヨガ6選
有酸素運動が更年期予防に効果的とご紹介しましたが、ヨガは室内でいつでもできることや、ウォーキングより膝への負担が少ないため、運動に慣れていない方に最適な有酸素運動です。
そして身体を伸ばす動作や腹筋や背筋などを使う場面もあるため、ヨガはストレッチと筋トレの要素を含んでいることもおすすめする理由。
またヨガは自分の心と体と向き合う運動なので、イライラや落ち込んだ気持ちを、前向きにしてくれる効果も期待できるのです。
それ以外にも全身を引き締めるシェイプアップ効果や、普段使わない筋肉を鍛えて体幹を作る効果もあるので、ヨガに慣れてきたら他のポーズに挑戦してみるのもおすすめ。
こちらでご紹介するのはすぐにでも試せる簡単なヨガなので、まずはこれから試してみてください。
イライラをしずめる簡単ヨガ
仕事や家庭などで思うようにいかずイライラする、仕事で失敗して落ち込む、こんな経験は誰でもありますよね。
そのイライラからくるストレスや落ち込みといった、ネガティブな感情を抱え込まずに発散することが更年期の予防に繋がるのです。
このように感情の浮き沈みに振り回されることが多い女性には、イライラを鎮めてくれるのに効果的なヨガを試してみてください。
椅子に座った状態でやれる簡単なヨガなので、職場や出先でイライラした時にすぐにできるのでおすすめです。
《怒りを浄化するデトックス呼吸》
- 椅子に背筋を伸ばして座り、軽く足を開く
- 両手の指をみぞおちに差し込むようにして、上半身を前に傾けて強く息を吐く
このデトックス呼吸のポイントは、みぞおちに指をグッと入れ込むこと。
みぞおちの近くにあるあばら骨に沿って指を入れると、左手が胃、右手が肝臓に当たります。
ヨガの考え方では胃はストレスを消化する臓器、肝臓は怒りやイライラを溜める臓器と考えられています。
このポーズはその二つを同時に指で刺激して活性化することが、ストレス解消につながるのです。
《気持ちが落ち着つく前屈のポーズ》
- 椅子に浅く腰かけ、背筋を伸ばす
- ひざを伸ばして両足を広めに開き、身体をしっかり安定させる
- 腰を伸ばすイメージで、息を吐きながら上半身を前に倒していく
- 太ももの内側、ひざの裏が伸びている感覚を確かめる
前屈のポーズは、胎児の時のような安心感を与えてくれます。
上半身を前に倒す時は、できるだけ手を伸ばすことを意識するとさらに効果的です。
また伸ばした手は床に付かなくても大丈夫なので、両足の裏で床をしっかり踏みしめて腰を伸ばすことに集中してくださいね。
《嫌な気持ちがスッキリ!ねじりのポーズ》
- 椅子に浅く腰かけ、背筋を伸ばす
- 左脚が上になるように足を組む
- 左ひざに右手をかけ、そこを支点にして左
- に身体をねじる
- ねじる時に息を吐き、身体を戻したら普通に呼吸する
- 反対側も同様におこなう
胃や肝臓への血流は身体をねじることで一時的に停滞し、身体を戻す時に一気に増えます。
血流が増えることで肝臓の働きが活性化され、怒りの感情をコントロールできるようになります。
また胃も同時に活性化され、イライラや怒りなどを浄化してくれる効果も期待できます。
憂うつな気分を明るくする簡単ヨガ
気持ちが落ち込んでいるときは、肩や背中が固まって、動きが重くスローペースになりがちですよね?
そんな憂うつな感情を吹き飛ばすためには、体を反らしたり脚を上げるヨガポーズが効果的。
また身体をテンポよく体を動かすことで、憂うつな気分を晴らすことができます。
前述のイライラ向きのヨガポーズと違い、全身を使うポーズなので職場でやるのは難しいため、リラックスできる自宅でおこなうことをおすすめします。
《心に活力を与えるデトックス呼吸》
- 椅子に座って背筋を伸ばし、軽く足を開く
- 息は鼻から吸い、口から吐く
- 息を吐く時にお腹をへこませ、下腹を背中に近付けるイメージで
- これをリズミカルに「フッフッフー!」と繰り返す
気持ちがすっきりしない、落ち込んでいる時には呼吸法が効果的です。
息を吐く時は勢いよくすることがポイントで、下腹部を刺激することで気持ちが高揚して気持ちが前向きになる効果が期待できます。
また頭をグラグラと揺らさないようにするとさらに効果的なので、お腹に意識を集中させることがコツです。
《行動力を取り戻すバタ足のポーズ》
- 仰向けに寝て、全身の力を抜いて息を吐く
- 息を吸いながら、なるべく垂直になるように両脚を上げる
- 両脚を上げている時は、足首は曲げた状態をキープ
- 脚を降ろす時は勢いを付けずに、ゆっくりと降ろす
- これをリズミカルに10回くりかえす
脚をリズミカルに上げ下げすることで、行動力を取り戻すきっかけになります。
なぜなら憂うつな気分で凝り固まったお腹に刺激を与えることで、行動しようという気持ちを奮いたたせてくれるため。
また腰が痛い方はお尻の下に手を敷くことで、腰の負担が軽減されるので、痛みを感じたらこの方法を試してみてください。
《気持ちと体の若さを保つ脚上げのポーズ》
- 仰向けに寝て全身を伸ばし、できるだけリラックスする
- 息を吐きながら、両脚と腰を高く上げる
- 自然な呼吸を続けながら、つま先を頭の上の床につけるようにする
※ひざは曲がっていても、つま先が実際に床につかなくてもOK
また生理中の方や血圧が高い方は、このポーズは控えて下さい
頭よりも脚を高くするポーズは、普段とは逆転している状態なので、物事を逆の視点からとらえることができます。
そのため脚上げのポーズをすることで、憂うつな気分から視点が変わり、前向きになれるきっかけを与えてくれるのです。
またのどを軽く圧迫することで甲状腺が刺激され、ホルモンバランスを整えてくれる効果も期待できます。
スポーツジムに入会する前に
スポーツジムは水泳、ヨガ、エアロビクス、ランニングマシン、筋トレなど、更年期予防の運動をするには持って来いの場所です。
しかし全く運動をしてこなかった人がいきなり思い立ってジムに入会した場合、最初はやる気があるからがんばれるものの、次第に通う足が遠のき挫折してしまった、こんな声聞いたことありますよね?
ジムに通いはじめても続かいないのは、以下のような理由が挙げられます。
- ジムの場所が遠くて通いにくかった
- 始めにがんばり過ぎて疲れてしまった
- ジム内の人間関係が面倒になった
- そもそも運動があまり好きではない
- 目標を決めていなかった
これらが挫折する主な理由なのですが、インストラクターの人と気が合わない、ジム内でできた友達の人間関係が面倒になったなど、意外と人間関係がネックになることもあるようです。
これはジムは運動する場所と割り切って、ひとりで運動に没頭すれば人間関係の問題は回避できるでしょう。
しかし一番の問題は運動が好きではない、目標がない、という理由です。
「運動は嫌いだけどジムに行けばなんとかなる」という感覚では挫折するのも時間の問題です。
スポーツジムを挫折しないためには?
挫折しないためにまずは自分で運動を続け、運動の効果と楽しさを実感できるようになってからジム通いをはじめましょう。
そうすればジムで運動することが苦ではなくなると、身体を絞ってあの服を着たい、あと5キロ痩せたいなどの明確な目標が持てるように。
また運動はだるさを感じたときにあえてやるとだるさが解消されるため、疲れたときこそ身体を動かしたいと思うようにもなるのです。
- 自宅や通勤経路など通いやすい場所
- 家計を圧迫しない価格を選ぶ
- 一人はさびしいと思わず、運動のためと割り切る
- ジム内で下手に友達は作らない
- 運動がすでに習慣になっている
- ジムで運動する明確な目標を持つ
これらの条件を自分自身がクリアできるかを考えてから、ジムに入会すべきかどうか判断してみてください。
一人で運動するのに飽きてきたという方なら、専用マシンがあるジムなら目線が変わるので運動そのものが新鮮に思え、さらに楽しくなるでしょう。
ジムに通うのも決して安くないので、お金を無駄にしないように運動したいと思えるようになってからはじめるようにしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
更年期予防に運動はあらゆる面で効果が期待できることを、お分かりいただけましたでしょうか?
そして30代も40代も50代も健康的に美しくいられるように、今からやれる運動を日常生活に取り入れてみてください。
運動することが習慣になると身体を動かしたいと自然に思うようになり、運動そのものがだんだん楽しくなってくるはず。
そうなれば更年期世代になっても怖い物ナシで、心と身体が元気なまま年齢を重ねることができるでしょう。
また更年期予防に効果的な食べ物について、以下の記事で特集していますので併せてチェックしてみてくださいね。